将来のお金の姿について考えてみる
お金というと、紙幣だったり、あるいは硬貨を思い浮かべる。
どちらも財布から取り出してレジに出すというイメージが伴う。
ところが、現金を使うことが減ってきている。
Suicaやpasmo、あるいはWAONといった電子マネーで買い物をすることが多くなってきているし、クレジットカードでの支払いも増えてきている。
さらにはここに、デビットカードが加わった。厳密に言えばデビットカード自体は昔から存在していたのだが、クレジットカード会社と連携したデビットカードが出てきた。
デビットカードで買い物をすると、買った瞬間に口座の残高から引かれる。使えるのは銀行口座の残高分までだ。ゆえに、使いすぎることもない。実際には定期預金との総合口座の場合は、定期預金の預入額の90%、あるいは200万円を上限とした自動貸出機能もあるが、それでも預金残高以上を使い込むというわけではない。
昔から存在していたデビットカードにクレジット会社が関わることになったことでどうなったか?
こうなった。
世界中どこでも買い物ができるようになった。クレジットカードが使える店なら世界中どこでも利用可能だ。
買った瞬間に口座から引かれる。アメリカで100ドルの買い物をしたとき、1ドル111円で、手数料が100円かかったとすると、買い物をした瞬間に11200円が口座から引かれる。
クレジット会社の持つ調査機能がそのまま保険となる。不正利用をされた場合、使われた金額が戻るし、不正の疑いがあったら本人に照会が来る。
そして、銀行の預金通帳は、いつ、どんな理由で出金したかが記録されるようになった。もっとも、今のところはまだ「カイモノ」とか「テスウリョウ」とかの大雑把なもので、「さば味噌煮定食 540円 出金」とまではいかないが。
このどこにも現金は登場していない。登場しているのはデビットカードだけだ。
ただし、それでもデビットカードを取り出して使うという点は残っている。つまり、財布、あるいは財布に相当するものは必要としている。スマートフォンを読み込ませることもあるが、それでもスマートフォンをカバンなりポケットなりから取り出すというワンクッションは必要となる。
これがさらに一歩進むとどうなるだろうか?
私は、指紋や静脈認証などが支払いのキーになる時代が来るのではないかと考えている。カードを出すのではなく、手のひらをかざすだけで支払いが完了し、その瞬間に口座から引かれるという時代になると考えている。
電子マネーへのチャージではなく、支払いをするたびに商店からクレジット会社を経由して銀行に情報が送られ、銀行に金銭の支払いの詳細な記録が蓄積されていくのではないかと考えている。
利用者にとっては便利になると同時に、安全も手にすることとなる。財布を盗まれたり、電子マネーを盗まれたりという事件は残念ながら存在するし、恐喝されるという事件も存在する。だが、自分の手のひらだったらどうなるか?
買い物が監視される時代は不気味と言えば不気味だ。それに、自分のこれまでの買い物の姿が情報として第三者に蓄積されてしまうことの危惧も理解できる。
それでも考えなければならないことがある。それは、時代が既にそのように動き始めているということ。これまで通りの現金決済も、国によっては一定額以上の売買については現金決済を禁止するようになってきている。決済はクレジットや小切手など決済の記録の残る方法でしか認められなくなってきているのだ。もっとも、そこには税の補足という考えも見え隠れしているし、地下経済を干上がらせるという目的も存在しているが。
現金決済に上限を設けている国の例
- ベルギー 3,000ユーロ
- フランス 1,000ユーロ(ただし、非居住者は15,000ユーロまで可)
- スペイン 2,500ユーロ(ただし、非居住者は15,000ユーロまで可)
- ギリシャ 1,500ユーロ
- イタリア 1,000ユーロ
さらに、インドでは高額紙幣を廃止するという思い切った方法で現金決済を減らすという思い切った方法をとった。
日本でももし、これらの国のように高額紙幣を廃止し、一定額以上の取引は現金の使用を禁止するとしたらどうなるか?
このあたりのことは、後日、まとめて。