徳薙零己の備忘録

徳薙零己の思いついたことのうち、長めのコラムになりそうなことはここで

社会科学の実験について考えてみた

「歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史」(慶應大学出版会,2018年)は、社会科学は実験できないという前提のもと、過去の類似より社会政策がどのような社会を生み出すかを描いた著作だ。

 

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

 

 

しかし、Google の示した論文は社会科学を実験可能とする時代を生み出すかもしれない。

Fortuneの記事ではGoogleの研究者のコメントをこのように記している。

fortune.com

 

「我々のプロセッサが量子回路の1つのインスタンスを100万回サンプリングするのに約200秒を要するが、最先端のスーパーコンピューターで同等のタスクを実行するには約10,000年を要する」

さらに、量子プロセッサで30秒で完了するコンピュータの処理を、 Google Cloud サーバーで実行したとき、完了するのに50兆時間を要するとまで書いている。

 

量子コンピュータの使用方法として、気象条件の再現など地球環境問題のシミュレーションを挙げる人は多い。また、医療をはじめとする科学技術の開発においても非常に有用になるであろう。

私もそのように考える一人であるが、ここにさらに、社会科学の実験を量子コンピュータで遂行することも考えている。量子コンピュータ上に人格を持った存在を多数、それこそ数億から数十億という数値で存在させることで擬似的な社会を構築し、主張しようとしている政策を量子コンピュータ上に展開することによって擬似的な社会がどのように進むかを事前にシミュレートすることができるのではないかと考えているのだ。

 

住まいをはじめとする環境を量子コンピュータ上に存在させ、人間の持つ知性や記憶、あるいは肉体をそのまま写したアバター量子コンピュータ上に存在させることで、量子コンピュータ上に現代社会と同じ社会を擬似的に作り、ここに政策、たとえば消費税の増税や廃止、軍備増強や縮小、社会保障の拡充or負担の削減といった政策を展開させ、量子コンピュータ上の時間の進み方を現実世界1分間に対し量子コンピュータ1年間とさせれば、政策によって社会がどのように変化したか、好転したか悪化したかを事前に実験できるのではないか。

これはきわめて妄想に近い。しかし、理論上は不可能ではない。

 

 

遠い未来の話になるであろうが、人間社会は、事前にどうなるかわかっている上で最良の結果を得られる選択をする社会になるのではないか、そんな気がする。